JRLテックログ

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人材は資産である

 企業の構成要素として良く「ヒト、モノ、カネ」と言われます。この中で、カネは文字通り予算であり、モノも固定資産など資産として計上されますので、カネが形を変えたものと言えます。一方で、一般的にはヒトだけはこれらは少し切り離されて、金銭的観点ではほとんどみられることはありません。

 今回は、敢えてヒトを金銭的側面で考えてみたいと思います。

  人にもコストがかかることは誰もが知っています。もっとも端的なのは、給与や福利厚生費などのいわゆる人件費という考え方です。また、これらは一種の維持費と言えますが、それだけではなく初期投資も必要となります。すなわち、採用コストです。そして、言葉は悪いですが、退職時にも廃棄コストに当たる退職金や、減っていますが企業年金などが必要となります。このような観点においては、維持費の中には減価償却費に相当する昇給というものがあるとも言えます。

 このように考え方は、ヒトをモノのように扱っているという批判も一部にはあるかもしれません。しかし、それでもここではあえて、ヒトとコストという視点に立って、ヒトもこれらのコストをかけて手に入れて、維持していく資産であると考えます。

 

 しかし、人を資産と考えた場合、他の資産と異なるのは、一つには、非常に長い償却期間を持った資産であると言えます。大卒22歳で採用して55歳で定年とした場合、償却期間は33年です。昨今の流れのように定年延長で65歳とあればさらに10年延びることになります。この点において、建物などの特殊なものを除けば、企業にとって最大の投資であると言っても過言ではありません。

 しかも、他の資産と大きく異なるもう一つの点は、維持償却費が年月と共に増加していくということです。通常の資産は時間と共にその価値は減っていきますが、人に関してはその価値は増えていきます。

 

 このように考えると、通常の投資は投資時点、または、せいぜい5年か10年のスパンでしか考えませんが、ヒトに関しては30年先を見越した投資判断、投資計画が必要になると言えます。従って、採用や解雇ひとつをとっても、今人が足りないから、余っているからと安易に計画、実行するのではなく、未来を見据えて判断していかなければならないということになります。

 

 一方で、他の資産と異なるのは、その価値は採用後の扱い方によって大きく変化するということです。上手に投資をして、育成していけば予想を超える価値を生み出してくれる可能性を秘めていると言えます。したがって、設備資産のように初期性能で判断するのではなく、伸びシロも重要なファクターであるということになります。

 

 また、もう一つの大きな違いは、設備資産のように予算さえあれば基本的に必要なもの、欲しいものが敵に入るということはない点が挙げられます。これは、必ずしも高い給与だけが良い人材を得るための方法ではなく、それでは得られないことも多々あるということです。そして、当然ながら必要なときにというようなタイムリーさを実現することも困難です。

 

 このように、ヒト、モノ、カネの中で、最も重要なものがヒトであり、最も難しいものであります。ヒトによって全てが左右されます。この意味でも、人材は最も重要な資産であると考えていく必要があります。

 

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