スポーツの世界などで「ゾーンに入る」という表現を聞いたことがある方も多いと思います。しかし、ゾーンとは一体どのような状態なのでしょうか。人の内面であることから、客観的に観察することは困難です。
そこで、今回はこの「ゾーン」というものに関して考えてみたいと思います。
ゾーンという言葉は、英語の「zone」に由来して、その意味は、
地域。地帯。区域。
などとなります。ここで述べているゾーンを言葉で表現するのは極めて困難ですが、ゾーンに入ると状態を「没入する」などと表現することがあります。そして、ゾーンに入った状態を経験者に聞くと、様々な表現の答えが返ってきます。
- 周囲の時間の流れが緩やか、または、止まったように感じる
- 会場(空間)全体を感じることができる
- 細胞一つ一つを制御できるように感じる
などです。
どれも、現実にはありえないと言えるようなことばかりです。しかし、当人たちは確かにそれを感じていると言います。
なんとなく、おぼろげながら言いたいことは感じられるような気はしますが、やはり体験していない人間にとっては、理解が困難ではあります。ただ、スポーツだけでなく、多くの人は時間忘れて何かに集中した経験はあるかと思います。本を読んでいた、ゲームをしていた、友人と遊んでいた、話していたなど様々な状況でそのような経験が1度や2度はあるはずです。まさに、前述した没入した状態です。ここに一つのヒントがありそうです。
このような状態は、「やりたいこと」と「やっていること」が一致している状態であると言えます。また、スポーツの例では、やりたいことだけでなく、やらなければならないことも含めたものと、できることが一致している状態である言えます。したがって、これらを総合すると、
やりたいこと=やらなけれならないこと=できること
という状態がゾーンの条件の一つと言えるのではないでしょうか。そして、そのような状態になっていることを無意識の中で認識している状態であるとき、ゾーンに入れるのではないでしょうか。
例えば、サッカーでシュートを決めたい、決めなければならないとき、どこに蹴ればいいか、どう蹴れば良いかが無意識の中で認識できているとき、意識下ではあたかもどこに蹴ればよいか、どう蹴ればよいかが考えたり、悩んだりすることなく即座に認識できていると感じることができる、そんな状態をゾーンと呼んでいると言えそうです。
まだまだ、ゾーンについては分からないことは多いのですが、一つの理解の仕方として提案したいと思います。