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新型コロナの感染拡大に関する考察

 10月以降ヨーロッパを中心に大きな感染拡大が起きて、一部の国では再度のロックダウンになっています。また、米国、ブラジル、インドなどでは、継続的に感染者が出て高止まりが続いています。しかし、一方で台湾のように封じ込めに成功して、それを維持している国もあります。日本でも、ヨーロッパほどではないにしても増加傾向が見られ、経路不明も増えています。

 今回はこのような、再度の感染拡大について、考察してみようと思います。

  まず、感染が高止まり、または、感染の再拡大が起きている原因としては、

  • 感染力の強化
  • 防止措置の不備

という二つに大きく分けることができます。

 

 前者の感染力の拡大については、ウィルスの変異がその原因として挙げられます。しかし、まだまだ往来が規制されている中で、ヨーロッパの複数の国で同時多発的にそのような変異が起きる可能性は低いといえるでしょう。

 

 したがって、より可能性の高い原因としては後者の防止措置の不備です。そして、この不備も、

  • 防止措置の実施不備
  • 防止措置そのものの不備

の二つに分けることができます。

 

 前者は、日本で言えば3蜜を避けようといわれているにもかからず、マスク等もせずにカラオケや会食をする、換気の悪い空間に多人数が集まるなどの行為です。原因は、危険意識の欠落や気の緩みといえるでしょう。現在の日本で言えば、まだまだ感染がコントロールできていない状況でGotoやイベント規制の緩和、入国規制の緩和を行うなどが具体的要因として挙げられるでしょう。これらについては、改善することが可能であり、感染拡大を抑制できる期待が持てます。したがって、現在感染している人達がどのような感染防止をしていたのかについて、そのレベル(例えば、マスクはしていたが正しく装着できていたかなど)も含めて検証する必要があります。

 

 後者については、現在推奨されている感染防止策に期待される効果がないことを指しています。たとえば、前述の3蜜を避ける、マスクをする(他人への感染防止)、手洗いといったことです。先のGotoやイベント規制緩和は、その前提としてこれらの対策で効果があるということを前提としています。しかし、その前提が間違っている可能性があるということになります。となると、今後爆発的に感染が拡大する可能性が出てきます。

 特に、どんどん増えている感染経路不明、これはいわゆる市中感染と言われるものです。これは、すなわち「感染の心当たりがない」が無いということであり、その意味していることは、十分に推奨されている感染防止策をとっていたということが示唆されます。仮に、密状態など濃厚接触の心当たりがあれば、それが後ろめたいものでなければ情報を得られるはずです。にもかかわらず、心当たりがないということは、現状の感染防止策に穴が存在する可能性があるということです。

 

 現在、マスクをしないで大きな声で近接して話すなどを避ければ感染は防止できるという風潮になっていますが、極めて危険な考え方である可能性があることになります。例えば、一部自治体(大阪等)ではPCR検査の基準の一つである濃厚接触の定義において、全員がマスクをしていれば密状態で近接して大声で話をしていたとしても濃厚接触ではないとして検査対象から外しています。これが正しい判断であれば、経路不明はここまで多くならないはずです。また、いまだに病院や介護施設でのクラスターが出ています。普通に考えれば他よりも感染防止策は厳しく実施していると考えられます。にもかかわらず、クラスターが出るということは、対策がきちんと実施されていないか、対策自体の効果が低いということになります。そんな状態で規制を緩和するのは間違いです。

 

 今必要なことは、現在の防止措置にどれほどの効果があるのか、そして、それらがどの程度きちんと正しく実施されているのかを検証することです。それによって、人々の考え方、行動も変わり、感染拡大を抑止できます。危険なことは、マスク、手洗いをして過度な人混みを避ければ大丈夫、という根拠の無い思い込みです。感染した人に対して、防止措置と行動について情報収集を行い、適切な防止措置を社会で共有しなければなりません。感染するべきして(ある意味では自業自得も含めて)感染したのか、それとも、感染する可能性は極めて低いにもかかわらず感染したのかは、大きな違いです。同じ場、環境にいたにもかかわらず、感染した人、しなかった人がいるということは何らかの要因があったはずで、まずは両者を比較することがスタートです。

 

 また、東京、大阪はもちろん、北海道、愛知、福岡、沖縄といった、これまでに1日当たりの感染者数が数十人から100人に迫る、または、越えた地域は感染者数が減りきらず、とうとう過去最多を更新しています。このことが示すのは、感染症の全体に言えるパターンとして、あるしきい値感染症によって異なる)を超えてしまうと、数が減らず、些細なきっかけで感染爆発を起こす状態になってしまうということです。そのしきい値を超えないようにしなければなりません。

 

 その上で、Withコロナの生活を確立していくことが重要です。